発行日 2002年7月1日
Published Date 2002/7/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00974.2002271611
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19歳女.著しい体重減少,無月経を主訴とした.心エコー図で,壁運動は正常であったが,右室後壁から心尖部にかけて心嚢水貯留を認めた.米国精神医学会DSM-IVの診断基準を満たし,心嚢水貯留を伴う制限型の神経性食思不振症(AN)と診断した.体重の増加と共に,入院時に異常値を示したGH,IGF-I,TCは正常化した.心嚢水は著しく減少し,BNPも低下したが,正常化はしなかった.臨床経過において,画像的な心嚢水の減少と一致して血漿BNPの減少を認めており,血漿BNPの測定は心嚢水量の経時的評価に有用と考えられた.ANにみられる循環器系の異常として,心嚢水貯留は15症例の報告があるだけで,稀な病態であると考えられていた.しかし近年,65名のAN中10名に心エコー図で心嚢水貯留を認めたとの報告があり,稀な病態ではなく,これ迄の臨床例で看過されていた可能性がある
©Nankodo Co., Ltd., 2002