発行日 2001年2月1日
Published Date 2001/2/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00974.2001138896
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症例は73歳男性で右側腹部痛を食欲不振,全身倦怠を主訴とした.血液データ上LDH2066IU/lと高値を示し,腹部超音波検査で右副腎に直径10cm大の腫瘤を認め,胸部CTで気管分岐部直下に腫瘤を認めた.本症例は,前年に腹部CTを施行していたが,副腎に異常を認めていない.気管分岐部の腫瘤に対し生検を施行し,組織学的所見及びHCG-βsubnitの上昇より肺細胞腫瘍と診断し化学療法を行ったが発見後3ヵ月で死亡した.右副腎腫瘍は肝,右腎に直接浸潤しており,左副腎,縦隔-気管分岐部リンパ節に転移を認めた.腫瘍組織は,異型及び大小不同の著しい多角形細胞の不明瞭な胞巣状増殖からなり壊死出血が著明であった.免疫染色でクロモグラミン-A,ビメンチンは陰性であった.以上より本腫瘍を極めて分化度の低い副腎皮質癌と診断した.また縦隔-気管分岐部の腫瘍は副腎腫瘍のリンパ節転移と診断した
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