発行日 2011年6月1日
Published Date 2011/6/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00764.2011288555
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手根管内の石灰沈着が原因となった手根管症候群4例5手(全例女・平均68.2歳)を対象に、術後平均25ヵ月の成績を調査した。手術は全例直視下に行い、可及的に全切除した。罹病期間4~48ヵ月で、疼痛は3手、痺れは全手、母指球筋の萎縮は3手で認めた。Tinel様徴候は全例陽性で、Phalenテストは4手で陽性であった。神経伝導速度は、運動神経、知覚神経ともに遅延を認め、知覚神経においてより顕著であった。単純X線では、全手で手根管内に辺縁明瞭かつ円形~楕円形の腫瘤性の石灰様陰影を認めた。術中所見では、石灰沈着部位は全例とも手根管底部の有頭骨周辺であった。腫瘤の大きさは長径10~22mmで、全例で正中神経の扁平化を認めた。横手根靱帯切離と石灰切除により全例で疼痛は術直後より消失したが、痺れは軽減を認めるものの4手で残存した。両側例の1手で、術後15ヵ月のX線で石灰化腫瘤の再発を認めた。
©Nankodo Co., Ltd., 2011