発行日 2011年6月1日
Published Date 2011/6/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00764.2011288554
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大相撲力士の上肢傷害1048例を、部位別に肩周囲、肘周囲、手関節・手指、上腕・前腕に分け検討した。肩周囲の傷害が42%と最も頻度が高く、次いで手関節・手指、肘周囲、上腕・前腕の順であった。肩周囲の傷害は、肩関節脱臼、肩鎖関節脱臼、骨折、腱板損傷の順に多かった。反復性肩関節脱臼の術後再発はBristow変法後の1例(8%)で認めたが、鏡視下Bankart修復術の短期成績は良好であった。肩鎖関節脱臼のTossy分類III度では保存的治療と手術的治療の術後成績に差を認めず、腱板損傷は2例(6%)で保存的治療の効果なく手術を行った。肘周囲の傷害は、尺側側副靱帯(UCL)損傷、変形性関節症・遊離体、骨折・脱臼、肘部管症候群の順に多かった。肘UCL損傷は保存的治療で全例が復帰した。手関節・手指の傷害は脱臼・骨折が多く、手術例の多くは手舟状骨骨折で、術後の骨癒合は低かった(22%)。上腕・前腕の傷害のうち骨折の3例に骨接合術を行い、1例で偽関節のため再手術を行った。
©Nankodo Co., Ltd., 2011