発行日 2010年12月1日
Published Date 2010/12/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00764.2011072015
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
脊椎手術後に致死的な循環器系合併症を生じた3例について報告した。症例1(80歳男)は腰椎変性疾患に対し多数回手術を受けており、もともと両下肢麻痺があった。頸椎症性脊髄症と環軸椎関節亜脱臼による四肢麻痺に対し後頭骨頸椎後方固定術を行い、術後4週のリハビリテーション中に突然意識を消失し、心肺停止となった。血管造影で左右・上下肺動脈の閉塞を認め、肺塞栓と診断した。蘇生処置を行ったが、翌日死亡した。症例2(82歳男)は心筋梗塞と心室瘤の既往があった。腰部脊柱管狭窄症による腰痛と下肢痛に対し腰椎後方椎体固定術を行い、術翌日に突然意識が消失し、心肺停止となった。診断は心室細動で、蘇生処置を行ったが、低酸素脳症で術後2年10ヵ月の現在、植物状態にある。症例3(81歳男)は前立腺癌の胸椎転移による両下肢対麻痺と歩行困難に対し後方除圧固定術を行い、術後2時間に突然意識が消失し、心肺停止となった。診断は肺塞栓で、蘇生処置を行ったが、急変後3時間半に死亡した。
©Nankodo Co., Ltd., 2010