発行日 2007年7月1日
Published Date 2007/7/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00764.2007274047
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著者等の施設では2004年5月に深部静脈血栓症(DVT)に対するマニュアルを作成し予防対策を講じているが、2004年5月~2005年4月の1年間にガイドラインを用いて治療した192症例(男性66例、女性126例、20~98歳・平均71歳)を対象に検討した。対象の疾患・手術は大腿骨骨折83例・人工関節手術(膝;15例・股関節;13例)・脊柱手術24例・下肢骨折40例・骨盤骨折4例・その他13例で、D-ダイマー値が15μg/ml以上でかつ下肢エコーにて血栓が確認できた症例をDVTと診断した。192例中D-ダイマー値が15μg/ml以上の症例が47例(24.5%)で、うちDVTと診断された症例は26例(13.5%)であった。26例をDVT群(平均82.3±8.4歳)・その他の168例を対照群(67.2±16.7歳)として2群間で比較検討した。その結果、両群のBMIには有意差を認めなかったが、年齢及び近畿大リスク評価表では対照群に比べDVT群が有意に高値を示した。血液生化学的因子との関連では術後のFDP・CRP・D-ダイマー値(術後1~2週間)はいずれもDVT群が対照群より有意に高値であった。認知症との関連では長谷川スケールは対照群よりDVT群が有意に低く、後治療に対する影響では離床までの期間が対照群よりDVT群が有意に長かった。以上より術前の年齢・リスク評価・長谷川スケール、術後のFDP・D-ダイマー・CRP値、離床までの期間はDVTの早期発見や治療において有用な指標になると考えられた。
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