発行日 2007年5月1日
Published Date 2007/5/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00764.2007184470
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股関節手術後のトロンビン・アンチトロンビンIII複合体(TAT)値およびDダイマー値の推移と肺塞栓(PE)および下肢深部静脈血栓症(DVT)発症との関連を検討した。対象は変形性股関節症に対する人工股関節全置換術94例、寛骨臼回転骨切り術71例であり、男性11例、女性154例、手術時年齢平均51歳であった。術後PEやDVTを発症した14例と発症しなかった151例を比較した。その結果、術後1週目と術後2週目のTAT値、Dダイマー値は両群間で有意差を認め、TAT値のカットオフ値は1週目6.0ng/ml、2週目4.3ng/ml、Dダイマー値のカットオフ値は各々6.6μg/ml、10.2μg/mlであった。TAT値、Dダイマー値ともに術後1日~1週の増加率は両群間で有意差を認め、発症群に再上昇をきたす傾向にあった。また、発症群の手術時間は有意に長かった。術後早期のTAT値、Dダイマー値の増加が大きい症例ではDVTが疑われ、手術時間の長さは発症のリスクファクターと考えられた。
©Nankodo Co., Ltd., 2007