消化器手術のための栄養
サルコペニアと癌悪液質
土屋 誉
1
,
阿部 郁
,
岡田 由香里
1仙台市医療センター仙台オープン病院 消化器外科
キーワード:
悪液質
,
嚥下障害
,
術後合併症
,
腫瘍
,
虚弱高齢者
,
重症度指標
,
筋肉減少症
,
ロコモティブシンドローム
Keyword:
Cachexia
,
Deglutition Disorders
,
Neoplasms
,
Postoperative Complications
,
Severity of Illness Index
,
Frail Elderly
,
Sarcopenia
pp.827-836
発行日 2016年8月1日
Published Date 2016/8/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00393.2016292327
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筋肉量の減少を伴うサルコペニアと,サルコペニアが主要な臨床症状である癌悪液質は,ヨーロッパを中心にその定義や診断基準が統一された.サルコペニアは肝移植や消化器手術成績にも影響しており,当科での成績でも術前の握力低下群では術後在院日数が有意に延長していた.高齢者の術後嚥下障害発生についても,握力低下,筋量低下などで多くみられ,周術期におけるサルコペニア症例への介入の必要性が示された.癌悪液質はその段階により介入方法をかえるべきで,refractory cachexiaでは栄養介入は症状を悪化する可能性がある.それ以前の段階ではできるだけ早期に介入することが望ましく,主要原因である持続的な炎症の抑制,食欲増進効果などを期待した治療法が試みられている.
©Nankodo Co., Ltd., 2016