腹部良性疾患に対する外科治療の最前線
食道アカラシア
井上 晴洋
1
,
丸山 祥太
,
鬼丸 学
1昭和大学江東豊洲病院 消化器センター
キーワード:
Barium Sulfate
,
X線透視検査
,
食道アカラシア
,
食道鏡法
,
Natural Orifice Translumental Endoscopic Surgery
Keyword:
Barium Sulfate
,
Esophagoscopy
,
Esophageal Achalasia
,
Fluoroscopy
,
Natural Orifice Endoscopic Surgery
pp.9-14
発行日 2016年1月1日
Published Date 2016/1/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00393.2016089684
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内視鏡的筋層切開術(POEM)は,従来は外科手術(腹腔鏡下Heller-Dorなど)で行っていた筋層切開を経口内視鏡的に行うものである.筋層切開の長さや方向も自由に設定できることから,食道アカラシアのみならず,これまで決定的な治療法がなかった食道運動機能障害(びまん性食道攣縮,nutcracker esophagus,Jackhammer esophagusなど)においては,有用かつ唯一の治療法であると考えられる.筆者の施設ではこれまでに1,000例以上に施行しており,成功率は,Eckerdtスコアが最終的に3以下あるいは改善度3点以上を成功の基準とした場合は,97.5%であった.重篤な合併症をきたした症例は1例もない.また,POEM後の胃食道逆流症(GERD)は,有症状のものは15%,プロトンポンプ阻害薬(PPI)を内服した5%もコントロール良好であった.Nissen手術を必要とするような重症のGERDはなかった.現在,POEMは先進医療として,厚生労働省に認定されている.今後,アカラシアおよび関連疾患に対する標準治療になると期待される.
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