発行日 2014年5月1日
Published Date 2014/5/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00393.2014226276
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47歳男性。左下腹部痛があり近医を受診、腹部超音波にて左下腹部に腫瘤が発見され、はじめ著者らの内科へ紹介となった。腹部CTおよびMRIでは左下腹部のS状結腸近傍に腫瘤影がみられ、軽度の炎症反応の上昇から膿瘍疑い、抗生剤が投与された。だが、腹痛は持続、最終的にS状結腸の粘膜下腫瘍の疑いで手術目的で入院となった。腹部造影CTでは下行結腸からS状結腸境界部に結腸壁に接する径3cmの造影効果に乏しい腫瘤がみられ、腹部MRIでは同部位にT1強調像で低信号、T2強調像で辺縁が低信号、内部は不均一な軽度高信号を呈する腫瘤が認められた。以上より、本症例はS状結腸粘膜下腫瘍の診断にて腹腔鏡下S状結腸切除術が行われた。術中所見では左内鼠径輪近傍から索状物に連なる楕円形の表面平滑な腫瘤がS状結腸に接して存在していた。この時点で患者の鼠径部から陰嚢の触診では左精嚢が触れず、腫瘤を左腹腔内停留精巣と診断、泌尿器科医と相談して摘出方針とした。その結果、摘出精巣には悪性を疑う所見は認めず、術後は経過良好で、患者は術後第6病日目に退院となった。尚、摘出精巣は精細管内に精子形成はみられず機能的廃絶状態であった。
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