発行日 2012年5月1日
Published Date 2012/5/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00393.2012264957
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56歳女。3年前から頸部の違和感を自覚していた。圧痛を伴うため近医を受診し、右甲状腺腫瘍を指摘された。血清カルシウム値が高値、血清リン値は低値、血清intact-PTH値は高値を示した。頸部超音波では、甲状腺右葉内に22×13×17mm大のだるま状の充実性腫瘤を認め、甲状腺に比べエコーレベルは低く、辺縁は比較的明瞭であった。ドプラ法では、腫瘤辺縁から内部に向かう血流シグナルが存在し、MIBIシンチグラムでは、前期・後期相に明らかな集積像は認めなかった。頸部CTでも、甲状腺右葉内に腫瘤病変が認められた。以上より、原発性副甲状腺機能亢進症および右甲状腺腫瘍と診断し、手術を施行した。甲状腺右葉を切除し切開すると、黄褐色の腫瘤を認め、切除15分後に測定した血清intact-PTH値は92pg/mlまで低下していた。病理所見は、索状から管状の副甲状腺組織の増生および一部に被膜形成を認め、原発性副甲状腺機能亢進症および甲状腺内副甲状腺腫と診断された。経過良好で術後第5病日に退院した。
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