発行日 2003年12月1日
Published Date 2003/12/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00393.2004145216
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68歳男.主訴は腹痛.上部消化管内視鏡検査において,胃噴門部の進行癌と胃体部の活動性潰瘍を指摘された.上部消化管造影所見では,胃噴門部に一部粘膜下腫瘍の形態をとる全周性の3型胃癌と,胃体部後壁の比較的辺縁が整な潰瘍性病変像が認められた.上腹部正中切開にて開腹を行うと,腫瘍は胃噴門部に認められ,No.1とNo.3のリンパ節に腫大が認められた.又,漿膜面への露出が疑われた.胃体部後壁の潰瘍性病変は触知しなかった.胃全摘術兼脾臓・脾動脈幹および胆嚢合併切除術・2群リンパ節郭清術を行い,ρ-Roux-en-Y法にて再建を行った.病理組織学所見より噴門部胃癌の壁内転移が単発的に活動性潰瘍形成に関与したものと考えられた.又,リンパ節転移はNo.1とNo.3に5個認め,p-H0P0N1T3 stage IIIAと診断された.術後48日目に軽快退院となり,現在外来にて補助化学療法を行い慎重に経過観察中である
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