発行日 2016年9月1日
Published Date 2016/9/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00349.2016402997
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日齢45男児。在胎37週4日目に経腟分娩で出生(体重3085g、Apgarスコア5分値9点)したが、心エコーにてFallor四徴症と総肺静脈環流異常症の合併を指摘された。初診時、心エコーでは左室拡張末期径の低形成ほか、右室流出路(RVOT)狭窄が認められた。また、造影CTでは垂直静脈は無名静脈に灌流し、細い肺動脈、低形成の左房が認められた。治療にあたっては、術後に左心系の容量負荷が増大する病態であること、更に左心不全を危惧して、2期的修復が選択されることとなった。手術は日齢45に初回となり、上方アプローチにより共通肺静脈-左房吻合を行い、主肺動脈を新鮮自己心膜でパッチ形成し、肺動脈交連切開後にHegar拡張器5mmが通過するまでROVT筋束切除を行い、閉胸した。その後、人工呼吸管理から術後第7病日目に離脱し前医へ転院、外来で経過管理とし、1歳頃からは高肺血流が出現し、1歳4ヵ月時の心エコーでは肺動脈弁輪径が12.8mm、LVDdは28.3mmまで成長した。以後、二心室修復の適応と判断して肺動脈弁交連再切開、PVOT筋再切除を行い、心室中隔欠損を厚さ0.4mmパッチで閉鎖した。その結果、第21病日目に退院となり、3歳2ヵ月の現在も経過良好である。
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