発行日 2011年12月1日
Published Date 2011/12/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00349.2012213770
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症例は74歳男性で、無症状(胸部異常陰影)を主訴とした。3年前に胆嚢結石症の手術歴があり、15日間中心静脈栄養で管理されていた。胸部CTで右S1に石灰化を伴う腫瘤と上大静脈内の血栓を認め、血栓性疾患の検索で血液検査を追加したが、異常はなかった。手術は胸骨正中切開で施行し、まず血栓の除去を行った。血栓は器質化しており、中央にトンネルが形成され、中心静脈カテーテル周囲に形成された血栓と推測された。肺腫瘍に対し右肺上葉切除を行ったが、迅速病理診断で悪性所見はなかった。術翌日からheparin sodium 5000U/日の投与とwarfarin potassiumの内服を開始したが、術後3日に両側上肢の浮腫が出現した。血栓の再発を認め、Heparin sodium 800U/時の持続投与を開始し、活性凝固時間200~250秒を目標に増量した。浮腫は改善し、その後、warfarin potassiumの内服に移行した。血液凝固系の検査を追加したところ、第XII因子の活性低下が判明した。
©Nankodo Co., Ltd., 2011