発行日 2008年7月1日
Published Date 2008/7/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00349.2008256275
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吸収性ポリグリコール酸(PGA)フェルトで胸膜表面を被覆する際に、生体糊に代えてsodium alginate(SA)水溶液を用いた呼吸器外科手術患者41例の成績を報告した。疾患内訳は肺癌28例、転移性肺腫瘍6例、気胸7例で、術中の水封試験で9例に気瘻を認めた。術後に気瘻をまったく認めなかったのは28例で、術中気瘻がなかったにもかかわらず術後に出現したのは8例であった。気瘻消失までの期間は術当日28例、術翌日6例、術後2病日5例、3病日1例、8病日1例であった。気瘻消失まで8日を要したのは胸膜全面癒着を認めた肺癌例で、左肺上葉切除を行い、術後3病日にminocycline hydrochloride 200mgを胸腔内投与して胸膜癒着療法を行った。他に胸膜癒着療法を行った例はなかった。対象全例での術後気瘻消失までの期間は中央値0.7日、術後気瘻を認めた13例では2.0日であった。術後7日以上続く発熱例はなく、有害事象や気胸の再発は認めていない。
©Nankodo Co., Ltd., 2008