発行日 2006年8月1日
Published Date 2006/8/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00349.2006302204
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開心術後の心房細動(AF)の予防法としてマグネシウム(Mg)経静脈投与を行い,その有効性を検討した.初回開心術例のうち,術前AFおよび心房性不整脈を有するもの,慢性閉塞性肺疾患(COPD),慢性腎不全,甲状腺機能障害,術前β遮断薬内服例を除外した虚血性心疾患,弁膜症,先天性心疾患を対象とし,Mg非投与群(C群)32例(男性18名女性14名,年齢57.7±15.5歳),Mg投与群(M群)30例(男性17名,女性13名,年齢63.8±10.6)の計62例について開心術後1週間のAF発生率を比較検討した.その結果,年齢,性別,術後K値,術後CK-MB値,人工心肺時間,大動脈遮断時間,心筋保護液量,術後出血量,ICU滞在時間に有意差は認められなかったが,術後入院期間はM群において有意に短かった.AFの発生率はC群14例(43.8%),M群3例(10.0%)で有意差が認められたが,冠状動脈バイパス手術(CABG)施行例におけるAF発生率は有意差が認められず,弁膜症においては有意差が認められた.術後AFは平均して2.9病日に発生しておりMg投与による徐脈,呼吸障害などの副作用はなかった.術後AFを呈した群(AF群)と洞調律を維持した群(SR群)の血清Mg値の推移についてはAF群は術前値が高く術当日に急に急激な減少をし,SR群より回復の遅延が認められた.以上から,Mg経静脈投与は開心術後AFを有意に減少させることが示された
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