特集 次世代生物学の扉を開く 1細胞解析法
Cell Tech Eye 単一細胞解析から明らかになった転写を制御するヒストン修飾の役割
木村 宏
1
1東京工業大学 大学院生命理工学研究科
キーワード:
Glucocorticoids
,
Histones
,
翻訳後タンパク質プロセシング
,
RNA Polymerase II
,
蛍光染料
,
転写
,
Green Fluorescent Proteins
,
一本鎖抗体
,
エピゲノミクス
,
単一細胞解析
Keyword:
Fluorescent Dyes
,
Glucocorticoids
,
Histones
,
Protein Processing, Post-Translational
,
RNA Polymerase II
,
Transcription, Genetic
,
Green Fluorescent Proteins
,
Epigenomics
,
Single-Chain Antibodies
,
Single-Cell Analysis
pp.271-272
発行日 2015年2月22日
Published Date 2015/2/22
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- 文献概要
真核生物の遺伝子発現制御においてヒストンの翻訳後修飾が重要な役割を果たすことがわかってきた.クロマチン免疫沈降と大規模塩基配列解析を組み合わせたChIP-seqなどの手法により,ゲノム上のヒストン修飾や転写因子,転写を担う酵素であるRNAポリメラーゼⅡ(RNAP2)の局在を詳細に知ることができるようになり,個々の修飾やタンパク質と遺伝子発現との関係が明らかにされている.しかし,このChIP-seqや生化学的解析には,多数の細胞(通常105〜106)が必要であり,細胞集団の平均的な像しか得ることはできない.一方,免疫染色やin situハイブリダイゼーションなどの顕微鏡解析を用いることで,個々の細胞のヒストン修飾レベルや修飾されたクロマチン領域の核内局在に関する情報を得ることが可能であるが,時間軸に沿った解析は難しい.例えば,ヒストンH3のアセチル化は転写されている遺伝子の転写開始点付近に見られるが,このアセチル化修飾レベルの変動が個々の細胞でどのように転写制御に働くのかは,従来の方法で明らかにすることは困難である.
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