特集 免疫応答の負の制御:免疫恒常性の維持と疾患治療への応用
抗CD3抗体などによる自己免疫疾患の治療戦略
西尾 純子
1
1東京大学生産技術研究所 炎症・免疫制御学社会連携研究部門
キーワード:
Interleukin-2
,
Interleukin-7
,
シグナルトランスダクション
,
遺伝子発現調節
,
モノクローナル抗体
,
自己免疫疾患
,
疾患モデル(動物)
,
糖尿病-1型
,
CD3抗原
,
調節T細胞
,
分子標的治療
,
FOXP3 Protein
Keyword:
Antibodies, Monoclonal
,
Autoimmune Diseases
,
Disease Models, Animal
,
Diabetes Mellitus, Type 1
,
Gene Expression Regulation
,
Interleukin-2
,
Signal Transduction
,
Interleukin-7
,
CD3 Complex
,
T-Lymphocytes, Regulatory
,
Molecular Targeted Therapy
pp.1232-1237
発行日 2013年11月22日
Published Date 2013/11/22
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自己免疫疾患は免疫寛容の破綻により発症する.自己免疫疾患患者の末梢免疫寛容を担うFoxp3+制御性T細胞(Treg)による免疫抑制機能が低下していることや,多くの自己免疫疾患モデル動物においてTregの輸注により発症抑制あるいは発症後の改善が見られることから,Foxp3+Tregをターゲットとした治療へ期待が寄せられている.例えば,Ⅰ型糖尿病(T1D)モデルマウスへ抗CD3抗体を投与すると,Foxp3+Tregが増殖することによって発症が抑制され,発症直後の病態が改善することが知られている.そのメカニズムはIL-2,IL-7依存性で,抗CD3抗体により活性化されたconventional T細胞由来のIL-2がTregの増殖因子として作用している.本稿では抗CD3抗体,IL-2をはじめとするTregを標的とした治療法の最近の知見について考察する.
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