特集 腸炎・腹膜炎を読み解く ―病態と画像所見の対比
画像診断医が知っておくべき感染性腸炎の臨床像
大川 清孝
1
,
佐野 弘治
2
1大阪市立十三市民病院消化器内科/淀川キリスト教病院消化器内科
2大阪市立十三市民病院消化器内科
キーワード:
感染性腸炎
,
細菌性腸炎
,
内視鏡
,
腹部CT
Keyword:
感染性腸炎
,
細菌性腸炎
,
内視鏡
,
腹部CT
pp.1106-1114
発行日 2023年9月25日
Published Date 2023/9/25
DOI https://doi.org/10.15105/GZ.0000004863
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● 感染性腸炎の画像診断を行うには,その病態を理解しておくことが重要である.
● 感染性腸炎は,下痢の性状(水様便,血便,粘液便)と,悪心・嘔吐,発熱,腹痛,テネスムスなどの症状から,小腸型・大腸型・穿通型に分類すると,病態,原因微生物,症状,潜伏期,抗菌薬治療の必要性などを系統的に理解することが可能になる.
● 小腸型の罹患部位は十二指腸~空腸である.小腸型は微生物や毒素による腸管からの分泌亢進のために,大量の水様下痢を生じる.組織の破壊を伴わないため,発熱や腹痛はあっても軽度である.上部消化管症状である悪心・嘔吐を伴う.
● 大腸型の罹患部位は大腸または下部回腸である.微生物や毒素の組織侵襲による炎症のため滲出性下痢が生じる.組織の破壊を伴うため,発熱,腹痛,血便,粘液便,テネスムスなどの症状を呈する.
● 穿通型の罹患部位は回盲部である.消化器症状よりも発熱,菌血症などの全身症状が全面に出るため,穿通型と呼ばれる.発熱以外に,腹痛や下痢を来す.
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