画像診断と病理
縦隔奇形腫
中根 俊樹
1
,
岩野 信吾
1
,
長縄 慎二
1
,
田中 裕次郎
2
,
大島 一夫
2
,
下山 芳江
3
1名古屋大学医学部附属病院放射線科
2名古屋大学医学部附属病院小児外科
3名古屋大学医学部附属病院病理部
pp.380-381
発行日 2019年3月25日
Published Date 2019/3/25
DOI https://doi.org/10.15105/GZ.0000001090
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1歳7か月の女児.喘鳴あり,他院小児科外来を受診.胸部単純X線写真で腫瘤陰影を認め,CTでは前縦隔右側に最大径8cmの腫瘤を認め,気管分岐部から右主気管支が圧排されていた(非提示).緊急手術のため当院小児外科を紹介受診.血液検査ではAFPやβHCG,CEAは正常値であったが,CA19-9が79U/ml(正常は37U/ml以下)に上昇していた.CTでは前縦隔から右胸腔に突出する径8cm大の境界明瞭な腫瘤を認めた.内部には粗大な脂肪組織や軟部影,嚢胞成分,成熟骨などが散見された.成熟成分主体の成熟嚢胞性奇形腫が疑われた.腫瘤の頭側や尾側に均一な性状の軟部影を認め,圧排された胸腺組織が疑われた.胸水は認めなかった.腫瘤により縦隔は左方に圧排されており,腫瘤と右内胸動静脈,左腕頭静脈,右腕頭動脈,右鎖骨下静脈~上大静脈,右肺動脈は広く接し,圧排性変化を認めたが,明らかな浸潤は認めなかった.CA19-9は術後に正常値まで低下した.
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