第1特集 予防&フォローがん診療
治療中(プライマリ・ケア医のかかわり)
がん治療中に起きやすい「体調不良」への寄り添いと支え
伊藤 圭一郎
1
,
猪狩 智生
1
,
井上 彰
1
1東北大学大学院医学系研究科 緩和医療学分野
pp.1294-1297
発行日 2025年9月1日
Published Date 2025/9/1
DOI https://doi.org/10.15104/th.2025100011
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はじめに
本稿では,がん治療中にしばしば遭遇する「倦怠感」,「悪心・嘔吐・食欲不振」,「口内炎・口腔乾燥」,「末梢神経障害」に対する支持療法について,プライマリ・ケア医の立場で知っておくべき情報を整理して解説する.適切な支持療法によってがん治療を中断させないことが重要であると同時に,患者の生活の質(QOL)を維持・向上させることを目的とした包括的なアプローチが,医療者にとって欠かせない視点である.
すべての支持療法において,治療可能な鑑別疾患を常に意識し,介入可能なポイントを同時並行で探ることが求められる.とくに免疫チェックポイント阻害薬(immune checkpoint inhibitor:ICI)の使用歴のある患者では,副作用が時間差で出現することもあるため,既往歴の確認と継続的な観察が必要である.なお,ICIによる有害事象については別項(p.46)を参照いただきたい.

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