連載 総合診療POEMs ─診療で使える!旬なオススメ文献─ 第19回
高齢者への積極的なACPは患者・家族のアウトカムを改善させる
岡田 悟
1
,
松村 英明
2
,
西村 正大
3
1東京北医療センター 総合診療科
2市立奈良病院
3奈良市立都祁診療所
pp.1080-1084
発行日 2024年9月1日
Published Date 2024/9/1
DOI https://doi.org/10.15104/th.2024090027
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超高齢社会とACP
2023 年の人口推計では,高齢化率が29 %,80 歳以上の人口は総人口の10 % と なっており1),プライマリ・ケアの現場で出会う患者の大半が高齢者といってもいい 現状になっている.急性疾患や慢性疾患の増悪で診療所から病院に患者を搬送する際 に実感するのは,日々の疾患マネジメントだけではなく,もしものときの医療に対す る希望を確認しておくこと,つまり,安定しているときからadvance care planning (ACP)を実施しておくことの重要性である.ACPとは「今後の治療・療養について患 者・家族と医療従事者があらかじめ話し合う自発的なプロセス」2)と定義される,も しものときに受けたいケアに対して患者・家族が向き合い準備する手段である. 要介護の超高齢の患者の病状が悪化したときに病院に搬送するかどうか,診断や治 療をどこまで行うか,といった決断を,患者やキーパーソンの希望や価値観を整理, 尊重しながら適切に,かつ,迅速に意思決定支援を行うことは容易ではない.このと き,それまでにACPが一度も実施されていない患者や家族の場合はとくに難渋する. 重要とわかっていても,忙しい日常診療のなかで後回しになってしまいがちなACPで あるが,今回,ACPの実践を後押ししてくれる重要な研究を紹介したいと思う.
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