特集 ロスジェネを診よう
壮年期に多い問題
壮年期の救急医療─ 総合医力の真価が問われるとき─
岩瀬 翔
1
,
綿貫 聡
2
1式根島診療所
2東京都立多摩総合医療センター 救急・総合診療科
pp.191-195
発行日 2024年2月1日
Published Date 2024/2/1
DOI https://doi.org/10.15104/th.2024020015
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はじめに
救急外来を壮年期の人々が訪れるとき,どのようなケースが多いだろうか.筆者(岩瀬)は 東京都内の急性期中〜大病院で働いた後,現在は離島の診療所で1人所長を勤めており,都 市部からへき地までの救急患者の診療経験を基に,壮年期の救急患者の特徴を考察したい. 壮年期は,生物・心理・社会(bio-psycho-social:BPS)モデルのすべての面で複雑性 が上がり始める一方,患者自身には仕事や子どもの世話,親の介護など自分以上に優先度 の高い日常生活タスクを抱えていることが多く,時間的・心理的余裕がないことが多いよ うに感じる.しかし,当座の問題を解決するだけで本当によいのだろうか? 仕事や子育 て・親の介護に忙殺されながらも数少ない自分の可処分時間を削って助けを求めに来た働 き盛りの世代を,その健康課題を抱える原因となったかもしれない世界に帰してしまって は,総合医として「病気を治した」と胸を張れない. 具体例とともに考えてみよう.
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