薬語図鑑-基礎薬学用語を現場で使える知識に訳してみました 第3部 文献検索・統計用語編
統計
12 RRR,ARR,NNT
-臨床試験で算出されるこれらの指標の意義は?
榎屋 友幸
1
1鈴鹿医療科学大学薬学部医薬品情報学研究室 准教授
pp.844-845
発行日 2023年3月31日
Published Date 2023/3/31
DOI https://doi.org/10.15104/ph.2023040170
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相対リスク減少率(RRR)
相対リスク減少率(relative risk reduction:RRR)は,1.0 からリスク比(p.354 参照)を引いた値と定義されます.リスク比は,相対リスクともよばれます.プラセボ投与群と非投与群における疾患A の発症率を調査する,前向きコホート研究を例にあげて説明します.プラセボはまったく臨床効果を示しませんので,図1 に示すように,プラセボ投与群と非投与群では疾患A の発症率がまったく同じということになり,相対リスクは1.0 となります.プラセボのように,疾患A の発症率にまったく影響しなかった場合,相対リスクは1.0 になります(ただし,プラセボ効果はないものとする).一方,医薬品Xでは臨床効果があり,リスク比が0.25 という結果になったとします.医薬品X のRRRは,まったく効果がないとされる相対リスク1.0 から医薬品X の相対リスク0.25 を引いた値(1.0 - 0.25 = 0.75)と定義され(図1),まったく臨床効果がないところからどれだけ相対リスクを減少させたかということを表しています.
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