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高齢化の進展に伴い,認知症高齢者や医療的ニーズが高い要介護高齢者が増加するとともに,高齢者のひとり暮らしや夫婦のみの世帯も増えるなか,高齢者の尊厳を保持し,その能力に応じて自立した日常生活を営めるようにするためには,高齢者1人ひとりの状態に応じた最適な医療と介護を継続的,包括的に提供できる体制づくりが求められている.このような社会的背景の下,病院完結型の医療ではなく,高齢者が生活のなかで医療や介護が必要となったときに,適切なサービスを受けながら住み慣れた地域で暮らし続けることができるよう,地域包括ケアシステムの構築が進められている.
高齢者の特徴としては,複数の疾患を抱え,予備能力が若年者と比較して低下していることや環境により症状が変動しやすいことが挙げられる.さらに,高齢者世帯の増加や家族形態の変化により,医療的な管理や日常生活の介護を必要とする患者・家族が退院への不安や退院へ消極的となることが頻繁に生じている.また,高齢者は入院によりADL(activities of daily living;日常生活動作)が低下しやすいこと,せん妄・認知機能の低下,転倒等,二次的弊害発症のリスクが若年者よりも高いため,それらの有害事象の発生を予防しながら,高齢者1人ひとりがもっている機能(強み)を維持し,最大限に引き出す関わりが大切である.円滑な入退院支援を進めていくためには,入院中の支援のみならず,高齢者のこれまでの暮らし,疾患を抱えながら生活していくことを考慮した個別的な支援が重要である.そして,高齢者の健康状態に応じて療養の場が移行していく入退院支援として,高齢者の健康生活を支える病院・地域関係機関のシームレスな連携が不可欠である.
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