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- Abstract 文献概要
学会発足から20年目を迎え,会員数も1,500人を超えた2014年度は新たな発展のときを迎えている.会員数は,この6月に1,500人と報告されたのちもさらに増え,もうすぐ1,600人となる勢いである.新しく入会する会員の方たちは,若手の教員や実践の場にいるメンバーたちが多いように思う.教育の場にいる若い方たちの入会からは,本学会が広く発展していく勢いが感じられ,実践の場の方々の入会からは,当初の教育・研究・実践の統合を目指して始まった日本老年看護学会が,ここへきて加速度的にその意味を強めていることが感じられる.実践の知と教育・研究がつながったことによって,さまざまな老年看護の課題が解決に向けて進むことが可能になり,高齢者やその家族の方々などへの看護の質向上に貢献できると考える.このことは,学会の特別委員会として始まった専門看護師・認定看護師活動推進委員会や,専門看護師として実践の力を示してくれている桑田美代子氏が2018年度の学術集会会長となったことなどからも,学会の目的の統合に裏づけされた結果によるものといえよう.
さて,改めて考えるに,私が看護を学び始めたときには,老年看護学はまだ成人看護学のなかで教えられているにすぎなかった.高齢化率が7.1%であったわが国の特筆すべき1970年(昭和46年)の高齢化社会に向かっているときや,「恍惚の人」がベストセラーになり,東京都老人総合研究所ができた1972年(昭和47年)であっても,まだ老年看護学教育は独立して教育されていなかった.それから20年近くたった1989年(平成元年)にようやく「老人看護学」が独立して教えられることになり,1995年(平成7年)に日本老年看護学会が設立され,1997年(平成9年)には「老年看護学」として,講義だけではなく実習も独立したものとしてカリキュラム構成されるに至った.そして,平成のバブル期は親への扶養意識の変化をも招き,平成に入ってからとくに多様化する高齢者に関する課題は,だれがどのように介護するかという切実な問題,認知症に対するケア方法の模索,終末期ケアやそれらに関連する倫理的問題など,さまざまである.元気な高齢者に対しては,いかに最期までその健康寿命を全うするのかと自らの生き方を問い,老年看護を担当する私たちには,自らはとうてい体験しようのない老年看護を担当する者として,いかに当事者の声を聞き,その人に近づけばよいかを考えさせている.
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