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本研究では,虚血性心疾患に罹患した独居あるいは夫婦のみ世帯の高齢者が,疾患に対する自己管理をどのような方法で行っているのか,そして行っている自己管理は,高齢者にとってどのような意味があるのか明らかにすることを目的とした.
研究協力者は,65歳以上の高齢者 16名(男性12名,女性4名)であった. データ収集は,研究協力者の自宅あるいは自宅周辺に訪問し半構成的面接法にて行い,得られたデータは逐語録とフィールドノートに記載した.行っている自己管理の実際は自己管理行動ごとに記述し,行っている自己管理の意味は研究目的に沿って分析,カテゴリーとして分類した.その結果,すべての協力者は必要な自己管理を良好に行っていた.高齢者は,退職などによって自己管理行動を構築しやすい環境にあるため,自己管理の実行は行いやすいと考えられた.そして行っている自己管理は,《虚血性心疾患の再発防止に対する自己管理》《生活になじんでいる自己管理》《自分らしい生活を続けるための自己管理》を意味していた.高齢者は,虚血性心疾患に罹患することで「死」を意識し,生命の限界や老いていく自分を目の当たりにする.そのことで今まで以上に自分らしい生活を維持する必要性を認識し,自己管理を行っていると考えられた.
虚血性心疾患に罹患した高齢者への自己管理の援助は,高齢者が疾患に罹患したことをどのように感じ,罹患後の生活をどのように送りたいと考えているのか,高齢者個々の今後の生き方に添った援助を行う必要性があると考える.また,高齢者の加齢による身体機能の変化を適確にとらえ,その人にあった自己管理の理解への援助と具体的な実践方法をともに見つけていく重要性が示唆された.
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