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Ⅰ.はじめに
1974年にわが国で臨床応用が開始された骨髄移植療法1)は,昭和58(1983)年に「同種骨髄移植」が医療保険の適用となり2),現在では年間2,000例前後実施され3),造血器悪性疾患に対して標準的な治療方法となっている.最近の実施件数の増加は,まず平成3(1991)年末に公的骨髄バンクである骨髄移植推進財団が設立され,非血縁者間骨髄移植の実施件数が急増したこと4),さらに移植される造血細胞が骨髄細胞だけでなく,末梢血幹細胞,臍帯血などと多様となり,骨髄移植は「造血細胞移植(以下,移植)」という概念に拡大されていること5)による.また,厚生労働省は移植の実施体制を整備するため,平成7(1995)年より無菌治療室の整備に対する国庫補助事業を行い,平成11(1999)年8月には「日本さい帯血バンクネットワーク」が発足し,平成12(2000)年4月から同種末梢血幹細胞移植が保険適用されるようになり,今後は移植施設数も増加し,同種臍帯血移植や同種末梢血幹細胞移植などの多様な移植細胞による実施件数のさらなる増加が予測されている2).そして,漸増する移植後患者が生涯を通じて自らの健康をコントロールし,改善していくことができるような健康増進能力の獲得とこれらを支援する環境づくりを通じ,これらの人々が自己実現できることをめざすヘルスプロモーションの理念6)を基盤とした医療体制づくりが求められる時代になりつつある.
そこで本稿では,これまで国内外で発表された移植後患者に関する研究をレビューし,移植後患者のQOL(Quality of Life:生活の質)の向上をめざしたヘルスプロモーションにおける看護支援の展望について述べる.
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