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研究報告
大腸がん患者の免疫能とQOLに対する「Writing」を用いた看護介入の効果
Effect of Intervention on Immune Function and Quality of Life in Patients with Advanced Colonic Cancer: Employing "Writing"
織井 優貴子
1
Yukiko Orii
1
1首都大学東京 健康福祉学部看護学科
1Faculty of Health Sciences, Tokyo Metropolitan University
pp.19-25
発行日 2006年7月25日
Published Date 2006/7/25
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Ⅰ.はじめに
悪性腫瘍患者が抑うつと不安を主体とする心理的異常を呈しやすいことが報告されており1)〜3),これらは患者のquality of life(QOL)を低下させるとともに免疫抑制を介し,予後に悪影響を及ぼすのではないかと考えられている3)4).Spiegelら5)は,転移のある乳がん患者を心理療法施行群と統制群に分けて追跡した結果,心理療法による顕著な生存期間の延長を報告した.その後,主に乳がん患者を対象として多くの追試がなされ,同様の結果を得た報告6)〜8)と無効とする報告9)が存在し結論は得られていない.「心理社会学的介入」は,がん患者のQOLの改善に有効であり10)11),年齢,部位などを考慮し介入を行うことの重要性が指摘されている12)13).がん患者に対する支援方法としての「心理社会的介入」には,主として教育的介入と心理療法的介入の2つのタイプに大別される14).心理療法的介入は,患者の感情表出により感情状態の改善を目的とした支持的療法であり15),進行がん患者に対し適切な支援である16).心理療法的介入の一つとして,重大なストレスの記憶を想起して記載するだけで大きな浄化作用をもつ「Writing」が注目されており,喘息や関節リウマチの患者ではその効果が検証されている17).また,創傷治癒過程に精神神経免疫反応が深く関与することが明らかになりつつある18).
わが国では,早期大腸がんの診断と治療などがめざましく発展してきたが,大腸がんの完全な克服はいまだ困難であり,大腸がんに罹患した患者に対して,身体・心理および生活の障害を介した大きなストレスが荷重される1).
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