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研究報告
同種造血幹細胞移植患者のQOLとSpiritual Well-beingの関連
Relationship between Quality of Life and Spiritual Well-being for Patients after Allogeneic Hematopoietic Stem Cell Transplantation
大槻 久美
1
Kumi Otsuki
1
1東北大学病院西3階病棟
1Tohoku University Hospital
pp.81-86
発行日 2005年12月25日
Published Date 2005/12/25
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Ⅰ.はじめに
Ganzは,がん患者のQOL(生命の質・生活の質)評価において,健康関連QOLとしての身体面・心理面・社会面・機能面に加えてSpiritual Wellbeing(以下,Sp)も追加するべき重要な領域であると提案した1).その後,1998年のWHO憲章の見直し作業でSpを「健康の定義」に加えようと提案された経緯もあり2),最近QOL評価にSpが重要な領域であると論じる研究者も多い3),4).
本邦でのspiritualityに関する研究は,終末期がん患者を対象にしたスピリチュアルペインに関する研究5),6),Spを健常人とがん患者で比較検討した研究7),spiritualityとQOLの関わりを論じた研究8),がん患者に対するspiritualityを評価する質問紙の日本語版の検討9)などで十分とはいえない.
血液悪性腫瘍の治療法として確立された同種造血幹細胞移植(以下,同種HSCT)は,患者に健康改善とQOL向上の可能性をもたらす手段であり,患者にとっては人生の岐路となる経験である.そして,ケアを提供する看護師として,患者の生きる意欲を支援するためにもSpに着目することは重要である.
そこで今回,同種HSCT患者に対し,標準化されたQOL評価質問紙を使用して,Spを含めたQOLを横断的,縦断的に調査し,Spとの関連を検討した.
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