日本看護診断学会第17回学術大会報告 看護診断とスピリチュアルケア―全人的なアセスメント・介入能力を高めるために
【教育講演】
1.スピリチュアルケアの実践家を育てる
窪寺 俊之
1
Toshiyuki Kubotera
1
1聖学院大学大学院
1Seigakuin University Graduate School
pp.41-46
発行日 2012年3月15日
Published Date 2012/3/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.7004100353
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Ⅰ.スピリチュアルケアの歴史(シシリー・ソンダース,WHO専門委員会など)
スピリチュアルケアが医療のなかで特別に注目を浴びたのは,末期がん患者のためのホスピスが誕生して以来である.つまり,1967年に英国で生まれたセント・クリストファー・ホスピスがシシリー・ソンダース医師によって開設され,そこで,肉体的苦痛,精神的苦痛,社会的苦痛の緩和に加えて,スピリチュアルペインの緩和の必要性が強調されてからである.
今日の医療は,治療中心,病院中心,医療者中心であって,患者中心であるべき医療が現実からは大きく外れてしまっている.患者の人間性や生き方は,医療のなかでは軽視されて,患者は“疾患”としてしかみられていない.そのような医療に対して患者の生活の質(QOL)を高める全人的医療を目指したのがホスピスである.そこでは,患者と家族の魂の痛みであるスピリチュアルペインへのケアが行われている.
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