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【目的】腹膜透析を受ける高齢者を介護する家族の介護状況,腹膜透析に関する教育状況と家族の介護に対する自信との関連を検討する.
【方法】65歳以上の高齢者に対する腹膜透析を20例以上実施している九州,中国,関東地方の10病院に研究協力依頼をし,6病院から研究協力に承諾を得た.研究協力病院の外来看護師に研究対象者の選抜と質問紙の配布を依頼した.質問紙は家族が介護状況について回答する質問紙と医療者が高齢者の医学的情報を記入する質問紙の2種類を準備し,マッチングした.郵送法にて質問紙を回収し,112名から回答を得た(回収率73.7%).そのうち96名(有効回答率63.1%)を分析対象とした.家族の介護に対する自信を従属変数としたロジスティック回帰分析を行い,介護に対する自信と関連要因を分析した.さらに,介護の継続意志を目的変数としたロジスティック回帰分析を行い,家族の介護に対する自信が介護の継続意志に及ぼす影響を分析した.統計学的有意水準はp<0.05とした.
【倫理的配慮】本研究は,研究責任者が所属する大学の倫理審査委員会,各研究協力病院の倫理審査委員会の承認を得たのちに実施した.(研究責任者の所属する機関での受付番号18148).
【結果】1.家族は介護に対し,このまま続けていけると感じている者は8割を占め,注排液の実施,制限を踏まえた食事の準備,内服の管理について,患者ができないときには代替してできると答えた者が7〜8割を占めた.しかし,家族の介護に対する自信を問う「腹膜透析を受ける患者の介護に必要な知識や技術をもっている」に対し,そう思うと答えた者は6割弱であった.2.医師への療養生活に関する相談ができる,家族が腹膜透析導入時に病院で教育を受けている,家族の性別が女性であることは,家族の介護に対する自信に有意な影響を及ぼしていた.3.家族の介護に対する自信は,介護の継続意欲に有意な影響を及ぼしていた.
【考察】腹膜透析を受ける高齢者の家族の介護に対する自信を高めるためには,腹膜透析導入時の教育と,医師に療養生活に関する相談できる環境をつくることが重要である.また,家族が男性の場合には介護に対する自信をもてるよう配慮した教育的支援が必要である.
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