第8回日本腎不全看護学会・学術集会記録 【シンポジウム:透析者の苦悩・苦痛とケア】
4.長期透析に伴う合併症との関連を中心に
村本 弘昭
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1金沢社会保険病院内科
pp.27-29
発行日 2006年4月15日
Published Date 2006/4/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.7003100260
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はじめに
血液透析(HD)が腎不全の治療として定着してから約40年が経過したが,当時の状況を知る人はいまや少なくなり,また歴史物語を読むように当時の苦労を偲んでいるのが現状である.更生医療による公費負担の開始は1972年11月のことであるが,それ以前には経済的理由で治療を断念せざるをえなかったケースも少なくなかったようであり,また施設自体の絶対数も不足しており,この時代の状況とすれば治療そのものが受けられるかどうかが最大の問題だったと思われる.さらに,当時の医療水準では長期生存はきわめて困難であったと思われ,1日1日が貴重な時間だったことが想像される.
それから40年が経過した現代において,腎不全治療は著しく進歩し,新しい治療法や薬剤の登場で患者のQOLは大いに改善したが,一方で患者の高齢化や長期透析患者の増加に伴って新たな問題が発生していることも事実であろう.今回のシンポジウムを機に当院血液浄化療法部の歴史を振り返りながら,テーマである透析患者の苦悩,苦痛について考えてみたい.
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