発刊にあたって―日本糖尿病教育・看護学会設立をバネに飛躍を

　糖尿病教育を中心に据えた学会が，ようやくできました．糖尿病の患者教育は，先端的な基礎医学，臨床医学の研究に比べれば，どうしても脇役の感があったものです．しかし，糖尿病患者の増加により患者教育へのマンパワーの必要性が増大し，それとともに看護婦・栄養士などのヘルスケアスタッフによる患者教育への期待が高まっているのも事実でしょう．また，これらヘルスケアスタッフ自身も，患者教育の専門家としての知識や技能の向上を願い，研究会やセミナーへと多数参加し，日々研鑽に励んでおります．

　糖尿病教育にあたるこれらヘルスケアスタッフの役割は，1人の患者教育の専門家としても，またヘルスケアチームの一員としても，患者とその家族が，糖尿病をもちつつも合併症のない充実した生活を送るための援助をすることだと思われます．患者とその家族は，ヘルスケアチームの専門的な援助のもとに，糖尿病のセルフケアができるように，また自律的・自主的に行動できるように求められております．このような良質な患者教育は，教育を担当する者の日々の研鑽と教育研究蓄積の賜物であると思われます．