Japanese
English
レター
Emic(当事者の視点)とEtic(観察者の視点):真に患者に寄り添うために
Emic (Insider's Perspective) and Etic (Observer's Perspective): To truly be there for the patients
蔡 小瑛
1
,
田中 真木
2
,
中村 充浩
3
,
松田 順
4
,
立石 和子
5
,
大沼 由香
6
Tsai HSIAO YING
1
,
Maki TANAKA
2
,
Mitsuhiro NAKAMURA
3
,
Jun MATSUDA
4
,
Kazuko TATEISHI
5
,
Yuka OHNUMA
6
1梅花女子大学
2名古屋大学
3東京有明医療大学
4帝京科学大学
5産業医科大学
6岩手保健医療大学
1Baika Women's University
2Nagoya University
3Tokyo Ariake University of Medical and Health Sciences
4Teikyo University of Science
5University of Occupational and Environmental Health
6Iwate University of Health and Medical Science
キーワード:
文化
,
emic
,
etic
,
トラベルビー看護理論
,
よい看護師
,
culture
,
Travelbee's nursing theory
,
good nurse
Keyword:
文化
,
emic
,
etic
,
トラベルビー看護理論
,
よい看護師
,
culture
,
Travelbee's nursing theory
,
good nurse
pp.81-84
発行日 2024年3月20日
Published Date 2024/3/20
- 販売していません
- Abstract 文献概要
- 参考文献 Reference
1.はじめに
ナイチンゲールは看護について「自分自身はけっして感じたことのない他人の感情のただなかに自己を投入する能力を、これほど必要とする仕事はほかに存在しない」(p.227)1と述べたが、トラベルビーは、看護師が患者の世界をありのままに把握するのではなく、自分自身の専門知識に基づいた枠組みによってみているという過ちを犯していることを指摘している。「ある病人たちは、彼らが現在しめしている行動をもとに判断される。たとえば、〈中略〉「変わり者」、「愚知屋」、「低能者」と判断されて、分類されるだろう。」(p.207)2。障害者と健常者の垣根をなくす「心のバリアフリー」が強調される昨今、患者や看護師にも「心のバリアフリー」が強く求められているが、患者と看護師の世界や文化はしばしば異なっており、障壁が存在するのも事実である。したがって、研究、教育、臨床における看護倫理にとって、対象をどのようにみているかを検討することは、必要かつ継続的な課題である。
本稿の目的は、異文化間の研究アプローチで活用されるemicとeticの概念を通して、当事者の視点と観察者の視点の違いを述べ、看護研究や臨床看護実践、倫理に役立てるための示唆を得ることである。
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