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1.はじめに
私たちは、いつ、どこで、どのような最期を迎えるか、事前に決めておくことはできない。しかし自分らしい生き方を考えておくことはできる。それを実現する一つの方法が、本教育講演のテーマ「アドバンスケアプランニング(Advance Care Planning:以下、ACPとする)」であるとされている。ACPは、将来の意思決定能力の低下に備え、今後の治療・ケア、療養などに関する本人の意向や選好を、本人を主体として、家族など本人が大切に思う人物や医療者と共に事前に考え、継続的に話し合うプロセスを指す。つまり、ACPは死に方を考えるものではないし、終末期になったら考えればよいというものでもない。私たち一人一人が日常的に考えていくものと言えるが、現実には、何らか医療との接点をもつ中で考えることが多いだろう。
このACPという考え方は、現時点ではなく、判断能力を失うときのことを見越して将来の意思決定に焦点をあてるものである。つまり、現在の意思決定(decision making now)と異なり、将来のケアのプランニング(care planning for the future)とも異なるものであり、将来のケアのプランニング(care planning for the future)は当人の判断能力に関わらず、臨床ではケアの方略を含め常に考えられているものである1。一方、ACPはあらかじめ自らが考えるという点において、その考える時点で判断能力のある者が対象である。また、判断能力を失う時のことを想定して、事前に考えること自体が不確実な前提にたっており、かつそれを考える人の心身の状況等によって容易に変わり得るものである。
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