◆特集 介護老人保健施設における作業療法—OTのジレンマを考える
特集にあたって
東 登志夫
,
浅海 奈津美
pp.559
発行日 2005年12月15日
Published Date 2005/12/15
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- 文献概要
認知症を含む要介護高齢者の絶対数の急増や入院期間の短縮化などにより,介護老人保健施設(以下,老健)における作業療法ニーズは拡大し,それに応えて働く作業療法士(以下,OT)の数も年々増加している.しかし,老健をとりまく諸制度の動向の激しさや,施設そのものが若く職員全体が試行錯誤の真っ直中というような状況の中で,経験の浅いOTからは,「施設機能の多様化が進む中,どの業務に焦点をあてて仕事を進めればよいのかわからない」といった声を耳にする.具体的には,少ない人員配置の中にあって「マンツーマン」vs.「グループの活用」,「入所者に対する業務」vs.「通所者に対する業務」,「管理業務」vs.「直接援助業務」,「訓練室での介入(またはアプローチ)」vs.「療養スペースでの介入(またはアプローチ)」等の配分をどうしたらよいのかなどの,相反しがちな業務の板ばさみになって,自分の動き方に悩んでいるのである.このような,所謂「ジレンマ」を抱えている状況は,老健のOTに求められる役割が,施設の設置主体や併設施設,地域性などによっても異なり,老健OT業務のノーマル・スタンダードが設定しがたいことにも起因していると思われる.
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