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はじめに
作業療法士として,幼少期,学童期小児疾患に携って十数年,今だに専門的分野がはっきりつかめそうでつかめない,言葉で表現するむずかしさを感じている私が,この稿を執筆するにあたり,いかに当惑しているか想像して読んでいただけたら幸いです。
経験を重ねれば重ねる程,小児疾患に対するアプローチの範囲の広さを感じ,チームアプローチの重要性を思い知らされる。
毎年毎年,何らかの新しいアプローチが生まれている現在,各職種とのオーバーラップの範囲内での作業療法士の立場,作業療法としての専門的アプローチ内容,どこまで広いのか狭いのか,境界線を引きにくくなっている。がしかし,常日頃より子供達と接していて,彼らが種々のサインを我々に送ってくれ,このサインにうまく答えられた時,「この考え方,アプローチ内容が作業療法の専門的分野なのかも知れない」と見つめてきた。つまり作業療法士の私が対処した故に発想した結果だからである。この対処の方法には,広い意味での作業活動が含まれるからである。徒手的技法もあるであろうし,遊具の活用もあるであろう。又,手工芸的活動,自分自身の活用もあげられるであろう。
子供達と接するにあたり忘れてならないのは,その子をとりまく家族と周囲の人々及び環境である。特に母親とtherapistとの関り,信頼関係は大切になる。
又,ここ数年マスコミの影響もあり,各種の技法に対する両親の誤解が生じ,子供達に異常な負担をかけている事も見逃せない。
地域的特徴も生じてくるものと思われる。
これらの点をふまえた上で,今までの経験より得られた問題点から発して,作業療法士としての私が行ってきたアプローチらしきものに関して,未熟ではあるが述べたいと思う。
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