Japanese
English
- 販売していません
- Abstract 文献概要
- 1ページ目 Look Inside
- 参考文献 Reference
はじめに
2019年12月,中国の武漢で発生した新型コロナウイルス感染症(COVID-19)は,その後,全世界に拡散し2020年3月に世界保健機関(WHO)がパンデミックを宣言した.本邦も2020年1月14日に神奈川県で最初の患者が確認され,2月には大規模クラスターを起こしたクルーズ船が横浜港に入港した.その後,感染は全国に拡散していき4月に1回目の緊急事態宣言が出された.COVID-19は全世界へ拡大し約3年間が経過し,今なお感染の終息は得られていない.しかし,この3年間でCOVID-19の特徴やその治療法も明らかになってきており,ワクチンや新薬の開発も急速に進んでいる.リハビリテーション医療においても,COVID-19の急性期リハビリテーション治療や遠隔リハビリテーション治療,さらには身体機能に及ぼす影響などの報告もみられるようになってきている.
COVID-19は,重症化すると集中治療室(ICU)において人工呼吸器管理が必要となり,病状がさらに悪化すると体外式膜型人工肺(extracorporeal membrane oxygenation:ECMO)が必要となる.重症COVID-19患者の病態は,急性呼吸窮迫症候群(acute respiratory distressed syndrome:ARDS)を反映したびまん性肺胞傷害(diffuse alveolar damage:DAD)の所見が特徴的である.人工呼吸器管理開始後一定期間は,換気量の過度な増加により肺傷害の増悪をきたす可能性があるため鎮静や筋弛緩剤の使用を考慮する必要があるとされている.また,COVID-19に関連したARDSは,COVID-19と関連していないARDSと比較し肺重量に有意な差はなく,肺傷害の形態は多くの側面においてCOVID-19非関連ARDSと類似しているとも報告されている1).
横浜市立大学附属病院では,感染拡大当初より重症COVID-19患者に対する急性期リハビリテーション治療を実施している.本稿では,まずICU管理が必要となる重篤疾患患者の急性期リハビリテーション医療について述べ,重症COVID-19患者の急性期リハビリテーション医療の実際と長期的機能障害について述べる.
Copyright © 2023, The Japanese Association of Rehabilitation Medicine. All rights reserved.