Japanese
English
- 販売していません
- Abstract 文献概要
- 1ページ目 Look Inside
- 参考文献 Reference
はじめに
リハビリテーション医学は医学・医療の専門分野として,米国において当初,物理医学(Physical Medicine)の名称でKrusen FHらによって体系づけられ,1947年に内科,外科,整形外科などと同等の専門医制度が認められた.しかしながら,患者,患児の原疾患の治療のみならず,身体的,心理的,社会・職業的にも最大レベルまで到達させて,社会復帰できる,すなわち,リハビリテーション(Rehabilitation)の要素が物理医学(Physical Medicine)の領域では必須であることも認識された.このような事情から,物理医学(Physical Medicine)専門医制度が発足した2年後の1949年に,専門医制度の名称が「物理医学とリハビリテーション」(Physical Medicine and Rehabilitation:PM&R)となって現在に至っている.しかしながら,2つの医学領域が統合された呼称“PM&R”は馴染み難いために,今では世間一般に受けられやすい名称として,「リハビリテーション医学」と呼ばれることが多くなっている1).
話題変わって,1930〜1950年代の米国では,ポリオ(poliomyelitis:脊髄性小児麻痺)が蔓延し,さらに第二次世界大戦での戦傷者らのリハビリテーション治療と社会復帰が急務となっていた.一方,米国にとっては遠い外国であるオーストラリアにおいて,Sister Elizabeth Kennyが独自で急性期ポリオ治療法を確立し,その治療法を米国で広めようと1940年に渡米して大奮闘した.その治療法はまさに,近代リハビリテーション医学・医療の先陣となるものであった.
宿命的出会いと思わざるを得ないが,当時の米国Franklin Roosevelt大統領がポリオ患者でありながら,第二次世界大戦を終結に導き,あわせてリハビリテーション医療の重要性を広め,リハビリテーション医学専門医制度確立の大きな後ろ盾となった.このように,Sister E KennyとF Roosevelt大統領の2人の名前は,リハビリテーション医学・医療の歴史の中で記憶されなければならない(図1).
本稿は,主としてSister E Kennyの先駆的なリハビリテーション治療法とオーストラリアから米国へ来て奮闘した彼女の足跡について,筆者が約半世紀前にSister Kenny Rehabilitation Instituteでリハビリテーション医学を研修したときの見聞を含めて述べる.
Polio epidemics in the USA during the 1940s and 1950s were among the most feared diseases of the 20th century. Sister Elizabeth Kenny and President Franklin Roosevelt both made key contributions to modern rehabilitation medicine, leading to the promotion of global progress made by the International Society of Physical and Rehabilitation Medicine a half century later. Dr. Miland Knapp at the University of Minnesota was also considered a pioneer in modern rehabilitation medicine, as he supported the Kenny treatment method for acute polio patients. The Kenny method was subsequently widely adopted in the USA.
Copyright © 2018, The Japanese Association of Rehabilitation Medicine. All rights reserved.