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肺疾患のリハビリテーションの従来の考え方
肺疾患のリハビリテーションといえば,慢性閉塞性肺疾患(chronic obstructive pulmonary disease:COPD)における運動療法がQOLやADLの改善の観点から日本呼吸器学会のガイドラインでエビデンスAとして推奨されている.このエビデンスは呼吸筋トレーニングより高く,COPDの安定期に行われる包括的呼吸リハビリテーションの中核として組み込まれている.運動療法の内容としては,運動中のSpO2値90%以上を目安に30分程度の全身運動(エアロバイクやトレッドミル)を2〜3カ月行うように勧められることが多いが,天井効果を考慮して息切れなどの自覚症状のある人が対象となる.その機序は,筋酸化酵素の活性低下に対して急性炎症性反応を起こさない程度の運動により体力の増加をめざすもので,低栄養による酸化ストレスに留意して栄養補給を行いながら筋量を増加させることが想定されている.
一方,間質性肺疾患についての運動療法の効果は,2008年にHollandら1)が最初のrandomized controlled trial(RCT)論文を発表して以来,いくつかの報告がなされているが,まだ一般的に認知されるに至っていない.間質性肺炎という病名であるが,主に肺胞隔壁を炎症の場とする疾患の総称であり,特発性間質性肺炎,過敏性肺炎,膠原病に伴う間質性肺疾患など多彩な疾患を含んでいる.さらに,特発性間質性肺炎だけでも特発性肺線維症などの7疾患に分類されており,症状,治療法などが異なる(表1).内科的治療法についてもそれぞれステロイドや免疫抑制剤に加え,生物学的製剤も日々試されている.当然のことながら,症状の進行は疾患により異なるため,リハビリテーション治療効果の判定も症例が均一となるように揃えないと難しくなる.また,前述した臨床診断名の他に病理組織診断名もあり,さらに膠原病では自己抗体による分類も行われている.このように,間質性肺炎を細分化していくと,多様性に対する対応が必要となるが,研究成果としては特発性肺線維症,全身性強皮症に併発する間質性肺炎などがよく報告されている.
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