巻頭言
データベース考
近藤 和泉
1,2
1日本リハビリテーション医学会
2国立長寿医療研究センター機能回復診療部健康長寿支援ロボットセンター
pp.664
発行日 2016年9月18日
Published Date 2016/9/18
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- 文献概要
初めて作ったデータベースは,特発性側弯症の児童の成長記録だった.400余名の児童の小学校1年から高校3年までの身長,座高,体重および胸囲のデータを集めて,自分でBasicのプログラムを組んでデータベースを設計し,そこからデータを取り出してグラフを描けるようにした.グラフを描くと外れ値や入力ミスをすぐに見つけられるので,保守も容易だったが,何しろ自作なので,データを修正するためのプログラムも作る必要があった.今にして思えば,稚拙で,利用範囲も狭いものであったが,それでも成長急進期を過ぎても進行を続ける側弯児では早い時期から成長抑制が起こることを見つけ,論文を書くことができた.次に作ったのは,大学のリハビリテーション(以下,リハ)外来のデータベースで,毎年,年度末の年報を作る作業を楽にするために開始したが,最終的には年報のみならず,検索でケースシリーズの論文を書けるようにし,教室の後輩が専門医の受験のための症例を集めるのにも使用した.
データベースは,データを集める基地(Base)のことを意味し,そこに一定の情報を集めておき,保守レベルを高くして,緊急時にそれをすぐに使えるようにするのがその主要な目的であると聞き及んでいる.したがって,常日頃データの点検を行い,それを正確なものに保ち,使えないデータを極力少なくして,なおかつ有事にそれをすぐに使えるようにしておくのが本来の役割である.ただしその入力と保守に膨大な時間がかかることを考えると,入力保守の労を取ってくれた人に相応のインセンティブを提供できるものでなければならない.
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