第49回 日本リハビリテーション医学会 学術集会 専門医会企画◎リハビリテーション科専門医はもっと義肢医療に関わろう-義肢医療の実際の現場から-
義足製作までに難渋した症例
河津 隆三
1
,
豊永 敏宏
2
1九州労災病院リハビリテーション科
2九州労災病院勤労者予防医療センター
pp.645-648
発行日 2013年8月18日
Published Date 2013/8/18
- 販売していません
- 文献概要
- 1ページ目
はじめに
近年の肢切断の傾向についてみると,一般的には外傷性の切断は労災事故の減少とともに減っており,また末梢動脈疾患(PAD)による切断も係る診療科で生活の質(QOL)の観点からの救肢という考え方が浸透し,加えて血管内治療やバイパス術,血管再生医療などの進歩により,特に大切断は減少している.さらに,PADに関係する切断が,リハビリテーション(以下,リハ)科が関与しない環境で行われることも多い.
そのため,切断および義肢症例について,我々リハ科医が係ることは少なくなっている.
一方で,義肢パーツの種類・機能は進歩し,高規格・高価な義足も次々と登場し,ややもすると適合が怪しげなケースや,機能を持て余していると思われる患者にも高規格の義肢が作られたり,適合が不十分で実際にはほとんど使用されない義肢が渡されていたりするケースも散見する.
当院は古くから労災病院の政策医療の一環として,切断および義肢製作・訓練に係ってきた.現在も義肢装具士が在職し,義肢装具士を含めたチーム医療を行っている.また,院内の役割分担として,切断・義肢症例は緊急手術以外は,リハ科に手術からリハまでのトータルケアが依頼される.当科で取り扱ってきた症例数は,調整を含めると図1のように,年間平均で義手10~20例,義足50~90例,装具150~270例と,比較的多くの症例に関与している.
その中で,近年下肢切断・義足症例について,改めて我々リハ科医のかかわりを考えさせられた2例を提示する.
Copyright © 2013, The Japanese Association of Rehabilitation Medicine. All rights reserved.