第6回 日本リハビリテーション医学会専門医会 学術集会/神戸 《ミニシンポジウム》リハビリテーション医療における精神症状への薬物療法―座長/寺本 洋一・宮﨑 博子
せん妄
先崎 章
1,2
1埼玉県総合リハビリテーションセンター
2東京福祉大学社会福祉学部
pp.903-908
発行日 2012年12月18日
Published Date 2012/12/18
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せん妄の病態・生理・症状
せん妄は図1のように,(1)軽度の意識混濁という意識レベルの低下と,(2)不安,緊張といった大脳辺縁系の過剰興奮とが同居している状態である1).せん妄の症状は表1のように多岐にわたる1).数日のうちに急激に発症し,一日のうちでも症状が動揺するのが特徴である(図2).病院に入院している患者がせん妄になる頻度は決して低くはない(表2).
せん妄は状態像であり,本来,原因そのものを改善し治療しなければならない.すなわち,「対症」治療法にとどまってはいけない.それをふまえた上で,図2のように,対症的に向精神薬を夕方前後に投与し睡眠・覚醒の周期を確保し,規則正しい生活リズムを取り戻すことで,せん妄から脱却できる.せん妄は表2のように,運動興奮が生じる過活動型,うつや発動性の低下(アパシー)と間違われる低活動型,それらが混ざった混合型とに分けられる.このうち最も早急に対応が求められるのは過活動型のせん妄である.
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