第48回 日本リハビリテーション医学会 学術集会/千葉 《パネルディスカッション》褥瘡・難治性創傷の新しいマネージメント―座長/市岡 滋
創傷に対する生体工学のアプローチ
髙橋 誠
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1北海道大学大学院情報科学研究科生命人間情報科学専攻生体システム工学講座
pp.805-809
発行日 2012年11月18日
Published Date 2012/11/18
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はじめに
医学と関係のない私のような工学者が創・傷をどのように考えているかということであるが,はじめに漢字字典を見ると「創」という文字は立刀が示す通り,刀傷が外部から物理的な力によってできたものであり,もともとは槍による傷という意味であった.「刅」等色々とあったが,現在では立刀を使った「創」だけを使用している.一方,人偏の「傷」は霊の力に関係する易を上から覆い,その呪術を妨げることにより,人の生気が衰えるという意味で傷を使っていた.槍による「創」はもともと物理的な力によるものだが,心の傷という場合は人偏の「傷」を使うということである.このように創・傷には色々な種類があり,また,過去の人類は創・傷というものを非常に総合的に捉えていたということが分かる.
では,現在の科学として,なぜ創傷の現象を取り扱うのに生体工学が必要なのか? それは,創傷ができている状態からなぜそのような傷ができたのかという発症機序の解明,また,かつては表面だけから見えていたものだったが,表面では見えないが深部で傷ができている(Deep Tissue Injury:DTI),というような現象を解明するには生体工学的アプローチが必要であるということが最近の研究から分かってきた(図1).
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