第48回 日本リハビリテーション医学会 学術集会/千葉 《シンポジウム》長寿化した社会からみえる運動器障害,歩行障害への対策―ロコモティブシンドロームとメタボと認知症―座長/中村 耕三
メタボリックシンドロームを阻害する要因としてのロコモティブシンドローム
宮地 元彦
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1独立行政法人国立健康・栄養研究所健康増進研究部
pp.600-603
発行日 2012年9月18日
Published Date 2012/9/18
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ロコモティブシンドロームとは
膝・腰などの運動器の痛みや運動・生活機能の低下を幅広く含む新しい概念であるロコモティブシンドローム(以下,ロコモ)が,日本整形外科学会を中心として2009年より提唱されている1).ロコモとは,運動器の障害により要介護になるリスクの高い状態になることと定義されている.ロコモの延長線上にある代表的疾患である関節疾患は要介護が必要となる要因の9%,要支援になる要因の20%を占めることから,高齢化の進展が急速な我が国にとって,ロコモは公衆衛生上の重大な問題の1つといえる.
ロコモの最大の危険因子は加齢である.したがって,平均年齢が延びた我が国では,ロコモは誰にでも起こりうる.第二の主要な危険因子として肥満が挙げられる.肥満に伴う膝や腰への荷重の増加が,関節の炎症や関節軟骨・椎間板の変性を引き起こす.また,筋力不足・運動不足も危険因子と考えられており,昨今では,メタボリックシンドロームや糖尿病などと同様に,生活習慣病の1つと認識されつつある.さらに,足腰に大きな負担がかかる激しいスポーツ経験や肉体労働に長期にわたり従事することも,ロコモの要因となるといわれている.
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