第48回 日本リハビリテーション医学会 学術集会/千葉 《シンポジウム》長寿化した社会からみえる運動器障害,歩行障害への対策―ロコモティブシンドロームとメタボと認知症―座長/中村 耕三
ロコモティブシンドローム―現状と他の生活習慣病との関連―
中村 耕三
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1国立障害者リハビリテーションセンター自立支援局
pp.579-585
発行日 2012年9月18日
Published Date 2012/9/18
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はじめに
日本では要介護者が増加しており介護サービスを受ける人は,介護保険法が実施された2000年の256万人から,現在その1.8倍となり450万人を超えている.原因疾患として「脳卒中」が23.3%,「認知症」が14.0%で,これらに対する対策が重要であることはよく知られている.そして,それらの実際の予防や治療法として運動の重要性が指摘されている.
しかし,その運動の基本となる運動器そのものの中高年者における健康に関する認識は必ずしも十分とはいえない.起立,歩行は人の生活の基本をなすものであり,人の移動は社会の根幹に影響するものである.
ロコモティブシンドローム(locomotive syndrome,運動器症候群,略:ロコモ)対策は,運動器の障害によって人の生活の制限が生じることを見据え,その対応を考えていくことである.この課題は人生90年時代を迎えて,運動器を長期間にわたって使用する人が多くなり初めて明らかになったものである.高齢者の増加によりその対象数はきわめて多い.このため従来の対処法の単なる延長では対応が難しい課題である.この新しい課題に多くの人が気付き,対処していくには,新しい言葉,概念が必要であり,ロコモの提案はこの理由による1).ロコモの要因,規模などについての研究が進んできており,この運動器の障害が,その他の生活習慣と関連があることを示すデータも明らかにされつつある.
このシンポジウムは,そのような状況を踏まえ,超高齢社会・長寿化した社会における運動器障害,歩行障害への対策について,生活習慣を幅広くとらえ,その関連についても討論できるよう企画されたものである.
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