第44回 日本リハビリテーション医学会 学術集会/神戸 《パネルディスカッション》再生医療-脊髄移植の現状と課題-―座長/大澤 傑・中谷 壽男
骨髄間質細胞を用いた損傷脊髄の再生
千葉 泰弘
1
,
黒田 敏
1
,
穂刈 正昭
1
,
矢野 俊介
1
,
飛騨 一利
1
,
岩崎 喜信
1
1北海道大学医学研究科神経外科
pp.356-360
発行日 2008年6月18日
Published Date 2008/6/18
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はじめに
最近,間葉系細胞の一つである骨髄間質細胞(bone marrow stromal cell;BMSC)が多分化能を有していることが明らかになり,さまざまな臓器への移植を目的としたドナー細胞として注目を集めている1).BMSCは中胚葉由来の細胞ではあるものの,最近,肝細胞や神経細胞などの細胞へ胚葉を超えて分化することが明らかにされている2,3).BMSCは,①採取方法が比較的容易で確立されている,②自家移植が可能である,といった利点を有しており,数多くの研究者が注目している.これまでの研究においても,脳梗塞,脳挫傷,脊髄損傷,パーキンソン病など,中枢神経疾患の動物モデルにおいて,移植されたBMSCが神経系細胞に分化して生着していることが組織学的に確認されており,神経症状も有意に改善するとの報告も多い.本稿では,BMSC移植による脊髄損傷の修復をターゲットとしたわれわれの最近の研究を国内外の知見とともに紹介する.
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