リポート「現場,最前線」
嚥下内視鏡による咽喉頭衛生環境の評価を重視した摂食嚥下機能訓練の重要性について
佐々木 千晶
1
,
大井 康史
1
,
欅 篤
2
,
西島 浩二
1
,
浅野 美季
1
,
俵屋 章則
1
1社会医療法人愛仁会 高槻病院技術部リハビリテーション科
2社会医療法人愛仁会 高槻病院診療部リハビリテーション科
pp.341-344
発行日 2013年12月15日
Published Date 2013/12/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.6001100393
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1.はじめに
従来から内視鏡による鼻咽腔喉頭器官の観察は耳鼻咽喉科領域では汎用されてきたが,近年,摂食嚥下リハビリテーションの領域でも嚥下内視鏡(videoendoscopic evaluation of swallowing:VE)として広く行われるようになり1),嚥下造影(videofluoroscopic examination of swallowing:VF)と並んで嚥下機能を評価する有用な検査として行われている.
当院では,平成23年4月よりリハビリテーション科医師によるベッドサイドでのVEを導入した.VEはベッドサイドで行える利便性があり,放射線被曝の問題を気にせず経時的に検査を繰り返すことも可能である2).加えて,鼻腔から咽頭・喉頭の粘膜組織の状態,声門閉鎖機能,唾液や分泌物,食塊などの咽頭粘膜付着・残留の状態や食塊の移動を直視下に観察でき,咽喉頭粘膜の感覚もある程度評価可能である.また,VEは無症候性誤嚥(silent aspiration)の検出にも威力を発揮するといわれている2).
今回,VEにより咽喉頭粘膜の衛生環境を把握し,その結果,多職種,特に病棟看護師との連携により衛生環境の改善から直接嚥下機能訓練へと導くことができた症例について報告する.
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