特集 ソーシャルワーカーと地域活動
子ども・若者支援とソーシャルワーク活動—「日本子どもソーシャルワーク協会」の19年を振り返って
寺出 壽美子
1
1日本子どもソーシャルワーク協会
pp.256-259
発行日 2019年9月15日
Published Date 2019/9/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.5003201094
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
はじめに
2000年に立ち上げた日本子どもソーシャルワーク協会は2003年にNPO法人を取得して,社会のさまざまなひずみの影響により児童虐待・いじめ・不登校・ひきこもり・少年事件等の状況下に追い詰められた子ども・若者たちの現状を打開し,共に歩んでいく存在として,日々ソーシャルワーク活動を実践している団体です。
子どもたちは,自ら親や家族を選ぶことができないという意味で社会の中での弱者であり,多くの場合,児童虐待を受けていても自ら虐待から逃れることもできません。また,いじめを受けた子どもたちは,児童虐待を受けた子どもたちと同様に複雑性PTSDの症状を現出します。そして,児童虐待といじめと不登校・ひきこもりと少年事件とは通底していますので,少年事件の背景を丁寧に見てみると,その背景に児童虐待やいじめの被害者であることが多く,少年自ら事件をひとりで起こすことはできないことが見えてきます。また,不登校・ひきこもりに関しても,彼らは生きていくうえでの根底がさまざまな要因によって揺らいでしまったために,こもらざるを得なくなったと考えられます。このような目には見えないさまざまな背景が隠れていますので,子ども・若者支援といっても単純ではなく,ソーシャルワーカーに求められることは,俯瞰的な視座から対象を眺め考察し,多角的に方向性を検討したうえで,子ども・若者と共に歩んでいくことになります。
Copyright © 2019, MIWA-SHOTEN Ltd., All rights reserved.